二次創作,二次小説,ヒカルの碁,オリジナル小説

Home

想恋歌

終章 行く先を照らす導 第四十七話                             2015.2.15

 5月、北海道・札幌市。  この時期の北海道は、誠にいい気候に恵まれている。家族旅行に友人同士の旅行、カップルの旅行に会社の慰安旅行など、訪れる人も多い。でも平日なので旅行に来られる人は限られると思うが。  その平日も休日も関係ないカップルが一組。 「佐為、とうもろこしがある。焼きもろこしがいい。あー、じゃがバタ! じゃがバタも食べよう」  前髪金髪の綺麗な若者に振り回される、品の良いこちらも綺麗な男性。札幌大通公園でも、凄ーく目立つ存在の二人だ。  この年の誕生日が来て22歳になるとは、とても思えない落ち着きの無さ。  対局の前々日に札幌の観光を楽しんでから、明くる日に滝川市に移動する予定なのだが、観光そっちのけで、もっぱら北海道の美味しい食材に興味の対象が限定されている、知る人ぞ知る本因坊挑戦者・進藤ヒカルがいた。 「ヒカル、いい加減にして観光にしましょうよ。私はもう食べれません」  佐為の言葉など聞いちゃいない。まだ何か目新しい食べ物は無いか鵜の目鷹の目で、落ち着きの無いことと言ったら。 「ライラック祭りやってますよ」  そう声を掛けたのだが、また何処かへ飛んで行ってしまった。これは暫く駄目ですね。諦めムードでベンチに腰掛けて待つことにした。  お祖父様が亡くなってから、担当する事業の数は減ったが、新たな責任が加わり、普段はヒカルと何処かに出かけるのは、難しい状況にある。それ故、ヒカルの挑戦手合があるときは、かなり無理してスケジュールを調整し、二人の旅行も兼ねるようにした。  挑戦手合は前もってスケジュールが決まっているので、合わせやすいのだ。そうは言っても全ての手合に付いてくることは流石に不可能だった。挑戦手合は棋戦の種類によって違うが、だいたい5番から7番ある。その内の一回に同道出来ればいい方だ。  今年の棋戦はおそらく今回の分が精一杯だから、来年は年の始めにある棋聖戦ぐらいだろうか。  ――この前々日まで佐為はアメリカに出張に行っていた。帰宅した日、ヒカルは泊まりがけの仕事で不在だった。  昨日が久しぶりに顔を合わせる日だったのだが、佐為が帰宅したのは深夜になってしまった。ヒカルからは何時頃に帰る? とメールが入っていたが、遅くなるから先に寝てるように返信を打った。  ヒカルは既に佐為のベッドでスヤスヤと寝入っていた。おそらく帰るのを待ちわびていて、寝てしまったのだろう。 「ただいま。遅くなってごめんね」  唇にそっとくちづけして、髪を梳いてやると「うぅ~ん……」と唸りコロリと寝返りをうった。目を覚ますかと思ったがどうやら大丈夫のようだ。入浴する為部屋を出ようとしたら「さい……」うっすらと目を開けたヒカルが、ボンヤリと佐為を見ている。 「今……帰ってきたの……?」  ベッドの側に戻り「そうですよ。起こしちゃいましたね。お風呂に入って来ますから寝てなさい」 「ん……」もう一度口づけして掛け布団を掛け直すと、安心したように瞼を閉じる。  入浴を終え暫くしてから、ヒカルを起こさないようにそーっとベッドに滑り込んだ。すると待っていたかのようにコロリと身体の向きを変え、佐為に抱きついてきた。 「起きてるのヒカル?」  呼びかけても反応無し。試しに脇腹をコチョコチョしてみたけど、しっかりと寝ているようだ。無意識下の本能行動のようだ。ヒカルの背中を擦りながら、佐為もそのまま眠りに引き込まれていった。  そして今朝は佐為の上に跨がった、ヒカルの濃厚なくちづけで目が覚めた。 「ムグ……」  ヒカルの顔を両手で引き剥がし「何してるのヒカル?」と聞くと、可愛い顔をニッコリさせて、 「目、覚めた? 起きるの待ってたのに、ちっとも起きないんだもんな。早く支度しないと飛行機に間に合わないぞ」 「そうでした」  バタバタと支度を終え、飛行機に飛び乗ってやって来た。――    初夏の風が心地よく吹き渡り、日差しも暖かく日頃の喧騒を忘れさせてくれる。日差しを身体いっぱい浴びるように、ベンチに深く腰掛け背もたれに身体を預ける。空を見上げながら物思いに耽っていたら、ようよう満足したらしいヒカルが戻ってきた。 「なに黄昏てんだ、佐為。睡眠不足だから疲れた?」  「別に黄昏れてはいませんよ。色々スケジュールを考えてたんです」 「今回一緒に来て大丈夫だったのか?」 「ええ。ブラジルは一緒に行けなかったですから」 「仕方ないよ。お祖父さんの具合悪かったんだし」 「本当は寂しかったんでしょ?」 「ぜんぜーん。そんな事ない」  そう言いながら顔がフイッと横に向いた。思わず笑いを噛み殺す佐為。 「素直でない子は可愛くないですよ」  苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるヒカルの手を取り、「行きますよ」と引っ張って行く。 「なあ、時計台見に行こうよ」 「ええ、そうしましょうか」 「今の北海道っていい気候だよな。佐為は北海道に何回も来てる?」 「かなり来てますね。何回ぐらいか解りません」  時計台はすぐ近くにあった。ヒカルはポカンと眺めていた。 「これが……時計台?」 「そうですよ」 「こんなに小さいのか。吃驚だァ。雑誌で見た時は凄く大きく見えたのに」 「大概みんな同じ感想を持つらしいですよ。街中にあって周りのビルが大きすぎて、パンフレットのイメージからかけ離れますね」 「そうだなぁ。何の為にこれを作ったんだろ」 「最初は明治11年に農学校の演武場として建設されたらしいですね」 「演舞場? なんかの武芸とかしたの?」 「そうらしいです。後は体育館として。昭和45年に国の重要文化財に指定されました」 「へえ~。中見学出来る?」 「出来ます。見学しますか?」 「うん、せっかく来たんだから」  入館料を払い二人でゆっくりゆっくり見学に周った。外観を見た時は少しがっかりしたが、中はそれなりに面白い。佐為の知識が豊富なので、その辺は凄く助かる。  見学を終えてからは、ライラック祭りを観たり「赤レンガ庁舎」「清華亭」「札幌市資料館」テレビ塔などを観て回った。 「そろそろ、ホテルにチェックインしましょうか? お風呂に入ってから夕食に行きましょう。豪華北海道の食材満載ですよ」 「うわぁ~、楽しみだぁ。聞いたら急に腹減ってきた」 「それはなによりです」 「ヘヘッ」  そして明くる日、お昼頃に滝川市に移動。  夜は懇親会が開かれた。主催する新聞社や協賛の会社などのお歴々も出席している。  これは後で知ったことだが、進藤ヒカルが挑戦手合を行うと、必ずといっていいほど主催する新聞社や他の協賛会社から、棋院に問い合わせが入るらしい。  曰く「藤原佐為さんは懇親会に出席されるでしょうか?」  藤原佐為は忙しくてめったに掴まらない。アポイントメントを入れても、そのアボイントメント自体取れないという状態が多い。そして業界でも、藤原佐為が自ら都合つけるのは、進藤ヒカルのみと言うのは最早常識となっている。故に数少ないチャンスを逃すまいと、各企業は必死になる、らしい。  その懇親会では当然の如く、企業の関係者と話し込んでいる佐為がいる。ヒカルは詰まらなかった。  自分の周りにも、絶えず誰かがやって来て話し込むので、暇ということはないのだが、でも詰まらないのだ。 「こういう集まりがあると、いっつも佐為を取られちゃうんだよな」  一人でブヅブツ言っていたら、 「なんじゃ、詰まらなさそうな顔しおって。大方恋人を取られて拗ねておるんじゃろ」 「じっちゃん……。べーつに拗ねてなんていないです」  桑原本因坊が面白そうな顔をして立っていた。 「まあしょうがないわな。藤原さんは、世俗の垢に塗れる世界で生きておるからな。何かと大変じゃろうて」  ヒカルには桑原本因坊の言った事が、サッパリ理解出来なかった。まるで宇宙語を聞いてる様な感じだ。 「……? 桑原本因坊、どういう意味だよ。ですか」 「フォッフォ! お主はまだまだ社会勉強が足りんようじゃな」  チェッ! 結局俺が子供だって言いたいのかよ。ヒカルは胡乱な目つきで本因坊を睨みつけた。だが当の本因坊は、ヒカルのそんな視線など、どこ吹く風の年期の入った妖怪だ。 「ところでどうじゃ小僧、調子は?」 「悪くないですよ」 「そうかそうか、それは楽しみじゃ。お前さんがち~っとも挑戦者に上がってこんから、わしゃ待ちくたびれてしまったぞ。もう少しで片足が棺桶に入りそうじゃったわい」 「そうなの? んじゃ、片足も両足も入らないように、俺がちゃんと本因坊取ってあげるから、じっちゃんは安心していいよ」 「ヒャヒャヒャッ! 言うではないか小僧。こりゃ楽しみじゃて」  わしゃもう寝るぞ。言うだけ言って満足したのか、さっさと引き上げてしまった。  第63期 本因坊戦  挑戦手合七番勝負、全互先・先番6目半コミ出し、持ち時間・各8時間、秒読み・残り10分前より  第1局、5月14日(水)・15日(木)、北海道滝川市。  先番・25世本因坊秀仁、後番・進藤ヒカル棋聖。  1日目が終了して佐為の待つ部屋に帰った時、思わず溜め息を吐いてしまった。 「お疲れ様。どうしたんですヒカル、溜め息なんかついて」  ヒカルを抱き寄せて軽く口づけをしてやると、安心したように吐息をつく。 「なんかさぁー、桑原先生やりにくい……ってか、打ちにくいんだよ」 「まあそうでしょうね。ヒカルと同じタイプですから」 「やっぱり佐為もそう思う?」 「思いますよ」 「そっか。今日は何してたの?」 「ネットで貴方の対局を見ながら仕事してました。来客もありましたしね」 「ふーん。とにかく疲れたなぁ。ご飯食べれる?」 「もうすぐ来ますから、先にお風呂に入っていらっしゃい」 「わかった」  スーツの上下を脱ぎ散らかして、ネクタイもワイシャツも放り投げて、バスルームへ向う。苦笑しながらもその服を佐為が集め、袋に詰め込んでいく。勿論佐為のすることだから、きちんと折り畳まれて詰め込まれる。ヒカルの様に適当にグチャグチャと入れて終わり、ということは決して無い。  明日着用するスーツ一式は、既に袋から出されクローゼットに入っている。  佐為のこういった生活スタイルは、本人の性格に寄る所も大きいが、主に育った環境にある。  財閥なれどそこらの成り上がり財閥と違い、歴史を持ち格も数段飛び抜けた家柄だ。衣食住に不自由したことは勿論無いし、家には執事がおり、お手伝いさんから運転手と様々な使用人もいた。  だが、幼い時から自分の事は自分でする事と、徹底的に躾けられている。決して甘やかされて育てられることは無かった。そしてまず自分で考えてすること。その上で自分の手に余ることであれば、きちんと助言を与えてくれる。  母は佐為が幼い時に亡くなったので、親代わりの兄達や姉からもそのように扱われた。そして中学生になった時から、自分のお小遣いは自分で稼ぐと言う事を教えられた。方法は何でもいい。自分に任せられる。  但し、条件は法に抵触しないこと。法に抵触しなくても、人様にアコギなこと・迷惑を掛ける事をしないこと。  それに対しての元手が必要であれば、貸してくれる。貰えるのじゃなくてあくまでも貸付。きちんと返済の義務が生じる。  兄達もそうやって育った。姉の場合はそういう事は殆ど無く育ったらしい。  佐為は非常に聡い子供だったので、株式の勉強を始めた。その間のお小遣いは自分の貯金で賄ったり、家のお手伝いをしたりして稼いだ。何しろお年玉だけでも結構な金額があった。大学生になってからはFX取引も始め、かなりの成果を残す事も出来た。  こういった事は、後々成人してから藤原の事業に入るにあたり、有効な経験として役立てられた。しかし中学生や高校生の時には、いくら頭が良くても経験は圧倒的に足りず、自分で対処しきれぬ場面も出て来る。其のような時に手助けしてくれたのは、主に祖父だった。  祖父は佐為にとても甘くて、舐めるように可愛がった。今の佐為がヒカルを舐めるように可愛がるのは、この祖父の影響が大きい。 「桑原先生は手強い相手ですから、かなりの苦戦になるでしょうね」  その佐為の予想どおり、第1局の対戦は3目半でヒカルが負けた。続いてその後の2戦も中押し負けとなり、ヒカルは3連敗。まさに崖っぷちの状態だった。  だが佐為は、それに関しては何も言わなかった。と言うのも結果だけを見れば負けでも、内容はかなり伯仲してると言っていい戦いだった。したがって、本人も落ち込んでると言うこともなく、塔矢や和谷を始めとする囲碁仲間達も、特に何も言わなかった。  騒いでるのは、囲碁の深いところまで把握してない人達だけであった。  そしてそれを証明するかの如く、4回戦からの対局はヒカルがすべて中押し勝ちで3連勝し、勝敗を五分に戻した。  本因坊第7局・最終戦は、7月22日(火)・23日(水)新潟県妙高市で行われた。  対局は二人の気合が現れた、力強い展開となっていた。そして、封じ手はヒカルが行った。桑原本因坊は、緒方に仕掛けた同じことをしようとしたのだ。  一日目が終了し、部屋に引き上げようとしたヒカルを、桑原が呼び止める。 「小僧どうじゃ。気合が入っとるようだが、明日は儂を負かせられそうって感じか?」 「そんなの、やってみないと判らないじゃないですか」  それだけなら俺部屋に帰りますよ。歩きかけたら 「封じ手は間違わなんだか?」 「ハッ? 封じ手?」 「そうじゃ。小僧封じ手は初めてじゃろ。こっちにしようか、あっちにしようか迷わなんだか? Aにしようと思って、間違ってBと書いたりしなんだか?」  ヒカルはキョトンとしていた。封じ手? 俺、封じ手初めてじゃないぞ。じっちゃん何言ってるんだ?   此処に桑原が言った(初めて) と、ヒカルが聞き取った(初めて) の言葉に、大きな齟齬(そご)が生まれた。  桑原は勿論、この本因坊戦では初めてだろ? と言ったつもりだが、相手は進藤ヒカルだった、というのを忘れていた事が、間違いの因だったのだ。  ヒカルは今までの棋士生活の中で、初めてか初めてじゃないのかと認識した。 「まさか、……じっちゃん惚けたんか!!」 「なんじゃと?!」 「大丈夫かじっちゃん、早く部屋に戻って休んだほうがいいぞ。俺はそんなの間違ったりしないから、安心していいって。たとえ間違っても全く問題ナッシング~。どっちでもいい手だから」  グイッと親指を立てて、じゃおやすみなさーいと、歩いて行ってしまった。唖然と見送った本因坊は大仰に溜め息をついて言った。 「やっぱり緒方がええのう……」  つまらんのう……食事を摂るために待ち合わせの場所にトボトボと歩いて行く。背中から、切ない・寂しい・侘しい・つまらん、というフレーズが飛び出してきそうな雰囲気を漂わせていた。  そして最終日、落ち着いた態度で入室して来たヒカルと、心無しか意気消沈して見える様な風情で入室して来た桑原本因坊。誠に対照的な二人であった。だが流石に年期の入った桑原。対局が始まればそんな雰囲気は吹き飛ぶ。 そして中盤も過ぎた頃に差し掛かり、またもやヒカルをおちょくり始めた桑原。 「最近はどうじゃ? 藤原さんと仲良くやっとるのか」  チラッと視線を本因坊に向けたヒカル。黒石を取りパチッと打つ。 「やってますよ」 「藤原さんに飽きたら、儂の所にきてもいいぞ」  パチッと白石を打つ音。そして唖然として対局を見守っている人々。 「はあ? 何言ってるんですか。飽きる訳無いですよ。本因坊がお相手では、俺が満足出来ませんので、謹んでご遠慮します」  パチッ! パチッ! 「なんじゃ、詰まらん。ところで小僧は大分稼げる様になっただろ」  パチッ! 「う~ん多分。俺、自分の金使うのは小遣い程度だから、余り良く解らない、です」 「ムムッ」 こちらはヒカルの打った手を前に、考え込んでいる本因坊。 「そういえば本因坊は、対局料って何処から支払われてるか知ってますよね」 「当たり前じゃ」  何を言っとるんじゃ小僧は。かなりいい手を打たれたな。こりゃ、ちと苦しいぞ、さてどうしたものか……。白石を指先に挟む。盤上に手を(かざ)すが一瞬躊躇する。 「俺さぁ、数年前まで知らなくてっさ、対局料って棋院が払ってるんだと思ってたんだよね。佐為にスッゲー叱られて――」   その時本因坊の手から、白石が滑り落ちカチャッと音がした。 「アッ! ――」全員の驚愕し唖然とした表情。シーンと水を打ったように静まり返る室内。記録係りも硬直して手が動かず。  ヒカルと桑原も固まったまま動けず、ただ盤上を見詰める。ギギギっと首を動かして、桑原の顔を眺めたヒカルは、ニタァーとした。 「本因坊、一度置いた石は動かせないんだよ」 「わ、わ、解っとるわい!」  なんちゅうことじゃ。この儂が小僧の策略に引っ掛かるとは……。クー無念、無念じゃ。  ふと、ヒカルの顔を見た本因坊。イヤ、違うな。この小僧はそんな輩では無い。わざとこんな事をする奴ではない。おそらくこれは此奴の素のまんまなんじゃろな。 「ヒャッーハッハッハッー!」  突然高らかに笑い出した本因坊を、呆然と見詰める数多の眼差し。そしてヒカルが次の一手を打った時、桑原は静かに頭を下げた。 「ありません」 「本因坊……」  俯いたヒカルは姿勢を正し「ありがとうございました」静かに深々とお辞儀を返した。  それから室内は蜂の巣を突いた様な騒ぎになった。 「桑原本因坊、まだ出来たんじゃないですか? あそこで終わりにしなくても」 「やかましいわい! あれ以上やっても結果は一緒だ。それに儂をもう本因坊と呼ぶでない。それから、出版部の記者はおるか?」 「はい、此処に」 「よし、今から言うことも一緒に記事にしておけ。これを限りに儂は棋士を引退する。解ったな」 「じっちゃん……」 「小僧よくやったな。じゃが来年・再来年と必ず防衛を果たせよ。でないと今回の勝利はマグレだったと、そこにおる記者に記事にされるぞ」 「はい。ありがとうございました」  蜂の巣を突いた騒ぎは、暫くの間収まりそうになかった。  此処に桑原前本因坊の引退と、進藤ヒカル新本因坊の誕生となった。 ---------------------------------------------------------------------- 追記 ~ 囲碁一口情報 ・現実の25世本因坊は、趙治勲(チョウ・チクン)殿です。桑原妖怪とタメはれる感じの方です。すみません。決して貶してるつもりはなく、尊敬しておりますです。TV対局の時に、ブツブツ独り言言うのは止めてほしいじょォ~。 ・封じ手……封じ手とは、二日間掛けて行われる対局の、一日目終了時に行われる。時間終了になった時に、次に打つ番の打ち手が、石を打つ場所を指定の用紙に書き入れ、棋院の事務方が預かり金庫に保管する。明くる日、書き入れてある手が読まれ、その通りに石を置いていく。ここで、間違えて書いてしまっても、修正は効かない。ある意味、公平性を考えたものだと。 ・囲碁の石は一度盤上に置き、指が離れたら動かす事は出来ない。指が離れた石を動かせば、その場で反則負けとなる。~

第四十八話 arrow arrow 第四十六話



            asebi

↑ PAGE TOP